庭を眺める
諸事情により、設計を一時中断していましたが、この春辺りに着工すべく設計を再開しました。
ところで設計事務所が建物の設計をするときには、多くの場合、建物だけではなく塀や門扉、庭など、敷地内にあるすべてのものを「設計」します。
あたり前のことですが、敷地内の建物位置が変われば、庭の作り方や門扉・塀の位置も変わります。
建物を建ててから、それに合わせて庭を造ったりする場合もあるようですが、私は敷地内すべてを居住空間と捉えているので、建物の内外を分けて考えるようなことはしません(と言うか、できません)。
ですので、場合によっては、敷地内のこの位置にこんな感じの庭を造りたいから建物はこうなるな、というように建物配置を決めたりします。
で、「堀金の住宅」。実はこの建物、私のいつもの設計手法とは全く違うアプローチで設計を進めています。
というのも最初の打合せのとき、お施主さんに「家」について、具体的なご要望だけではなく、イメージというか、どんな暮らしがしたいかお伺いしたところ、室内のどの場所からも庭を眺めて暮らせるような家に住みたい、そして、庭というものはあくまで眺めて暮らすもので、例えばウッドデッキのようなものを設けて、庭に出られるようにしなくてもよい、とのお話しを頂きました。
それなら、ということで、周囲に庭を作って、玄関以外建物から出られる場所を設けず、建物内と庭が全く分かれているような家にしましょう、と提案して、設計がスタートしたからです。
打合せを重ねた結果、主には洗濯物を干したりする為、1ヶ所だけ掃出し窓を設けてウッドデッキを作ることにはなりましたが、基本的には「庭を眺める家」になっています。
またその庭は、庭いじりが趣味であるお施主さんが「自分で作る」ということなので、私がいつもやるような「設計」はしていません。
もちろん助言を求められ、それに対してお答えすることはありますが、はっきり言って、木に関する知識も、そして庭作りに関しする知識・経験も、私などより豊富にお持ちですので、むしろ私が勉強させてもらっています。
この建物はお施主さんの作られる庭がメインとなります。
私はその庭の雰囲気を壊さないような建物を設計しなければなりませんし、実際、そのように設計を進めています。
そして最初にご提案したような、木々に埋もれた存在感のない住宅になればと考えています。